top of page
やきものとは
粘土で形を作り、高い温度で焼きかため(ガラス化)表面を薄いガラス質でおおっています。
工 程
粘土採集→成形→乾燥→素焼→(下絵付)→釉かけ→本焼→(上絵付)→完成
種 類
●磁 器 ●陶 器 ●土 器
粘土の中にできたガラス質の量によってきまります。
(ガラス質は温度の高低と粘土の成分によって違う)
粘 土
粘土のできるまで
火山活動→岩 石→分 解(雨、風、地震、その他)→一次粘土(陶石、カオリン)→二次粘土(漂積粘土、木節粘土)→土
粘土の成分
珪 酸65% 酸化アルミニウム20% 酸化マグネシウム+酸化カルシウム+酸化ナトリウム+酸化カリウム+酸化鉄+その他15%
やきものの粘土
水を加えると粘着性が生じ、可塑性が有り(力を加えられた部分だけが変形し、力を取り除いた後も、変形したままの状態が続く性質)
耐火性も有り、収縮率の少ないもの。単独でやきものに適した粘土は少ないので、欠点の有る粘土は欠点を補う原料を加えます。
●木節粘土・・・・可塑性に富み、耐火度は高いが、収縮が大きくゆがんだり、亀裂が生じる。
●珪 石・・・・・ゆがみや収縮を調節、耐火度も高めますが粘着性、可塑性は少なくなります。
●長石、石灰石・・かたく焼き締まる温度をさげます。(ガラス化を促進)
●陶 石・・・・・これだけで磁器の原料になります。可塑性を減らし焼成収縮を小さくしたり、やきあがりを白くします。
粘土を作る
原料採集→粉砕→不純物を取り除く→水を入れかき混ぜ、泥水を濾す→素焼鉢に入れ適当な堅さに乾かす→練って、ネカシ完成
注意事項
※粘土の粒子が細かすぎたり、可塑性が大きすぎた時・・乾燥による収縮が大きく、底の厚い作品などに亀裂ができたり、口の開いた皿や鉢などが
歪んだりします。粘土に適量の珪石、シャモットを混ぜて使うか、乾燥を急がない事。
※粘土の粒子が粗すぎたり、可塑性がとぼしいとき・・・・粘土にヒビが入ったり作ってる途中でこわれてしまう。粘り強い粘土を混ぜるか、
粘土をネカシて粘りが出てから使う。
※粘土の耐火度が高すぎた時・・・・焼け締まらず、もろいものになります。長石を適量混ぜてつかいます。
※粘土の耐火度が低すぎた時・・・・表面にコブのようなふくらみができたり、変形したりします。耐火度の高い粘土や珪石を適量混ぜて使う。
※粘土がやわらすぎた時・・・・水分が多ければ多いほど、乾燥による収縮が大きく、そのためゆがみや亀裂が生じやすい。
しばらく自然乾燥するか、素焼き 鉢に入れて水分を取る。
※粘土に気泡が入っていた時・・素焼きのとき、気泡が膨張して爆発してこわれてしまいます。菊練りを十分にする、作るとき気泡を封じ込めない。
釉 薬
やきものの表面をおおっている薄いガラス質の皮膜を釉薬と言います。やきものの表面に光沢や色彩を与え、美しく見せるほか、水の浸透をさまたげ、
汚れの付着を防ぎます。
釉薬の歴史
西洋では、いまからおよそ5000年前のエジプトの遺跡から、緑色の釉薬がかかった陶片が発見されているので、釉薬を作る技術はそれ以前と考えら
れています。東洋では、中国が最も古くからやきものの発達した国で、漢の時代には、すでに鉛を使った低火度の釉薬のほか、木灰を使った高火度
の釉薬も作られていたようです。
我が国では、木灰がかかった釉薬が須恵器に見られますが、自然釉で人為的なものではありません。あらかじめ釉がけして、焼成する方法は、唐三
彩をまねて作ったといわれている、奈良三彩です。木灰を使った高火度の釉薬で焼成する方法は、鎌倉時代初期に瀬戸で作られたのが最初です。
瀬戸は安土・桃山時代に流行した茶道の影響をうけて、志野、織部など我が国独特の釉薬が作られた。
釉薬の成分
■酸性成分・・・・珪酸(シリカ)
岩石に多く含まれています。釉薬がとけるために最も重要な働きをします。珪酸が多いと釉薬のとける温度が高くなり、
釉薬は不透明になり素地からはがれたりします。逆に少ないと温度がさがり流れてしまいます。
■中性成分・・・・酸化アルミニウム(アルミナ)
珪酸についで大切な原料です。とけた釉薬に適当な粘りをもたせ、とけてから流れだすまでの時間をひきのばし、素地にしっかりくいつかせます。
■媒熔剤(塩基)
酸化カリウム(カリ)・酸化ナトリウム(ソーダ)アルカリと呼ばれ水に溶けやすく珪酸をとかす力がたいへん強く、顔料の発色を促進させます。
分量が多いと釉薬の貫入に影響します。カリウムの方が 艶もよくふつうはカリウムの方がよく使われます。ナトリウムは湿気におかされやすい
という欠点があります。(塩釉・・・・適当な温度になったら塩を窯に入れます。塩はナトリウムと塩素に分解し塩素は ガスになって外に出て、
残ったナトリウムが素地の表面にある珪酸を溶かしガラス質になります)
●酸化カルシウム(石灰)
カルシウムは最もよく使われます。珪酸の溶解が強く、光沢を増し、熱による膨張が小さいので、貫入を防ぎます。
●酸化マグネシウム(マグネシア)
高温で強い媒熔剤となる、膨張がたいへん小さく貫入を防ぎ、量が多くなると、マット釉とよばれる不透明な釉薬になります。
●酸化亜鉛(亜鉛華)
白いう釉薬に使用すると白さを強め、色釉に使うと発色を鮮やかにします。結晶釉にも使用します。
灰
昔から釉薬の原料として大変優れたもので、多くの灰が使われてきました。
■灰の成分
珪酸、アルミナ、石灰、マグネシア、アルカリ、鉄、マンガン、リン酸
■灰の種類
土 灰・・・・雑木の灰の事、不純物が多くふくまれていて、成分も一定していないため、おもに雑器の釉薬に使われてきた。
とくに、鉄分やマンガンを多くふくんでいるため、酸化炎では黄色に、還元炎では淡青色になります。
イス灰・・・・九州南部にある柞(イス)の木の灰のことです。鉄分が少なく磁器の釉薬に使用します。
ワラ灰・・・・稲のワラを燃やして作った灰、モミガラの灰、竹の灰などは、珪酸分を多く含んでいますので珪酸質原料として使用します。
その他・・・・草、木、その他いろいろな灰があり、それぞれ成分や性質が少しずつ違い、異なった釉薬ができます。
(自然釉・・・・薪の灰が作品にかかり、高温でとけてガラス質になる)
着色剤
やきものに色を付けるにわ着色剤が使われます。色釉、下絵、上絵、色化粧、色粘土などがあります。
着色剤には高温でも燃えない、金属の化合物がつかわれます。
酸化鉄・・・・酸化炎では黄、茶、黒、還元炎では青、緑、最も使われているのは紅柄(酸化第二鉄)です、
土石類は鬼板、黄土、赤粉、来待石など産地によっていろいろあります。
※黄瀬戸、柿、天目、イラボ、そば、飴、鉄砂、青磁
酸化銅・・・・酸化炎では緑。還元炎では赤。
銅は高温で揮発し近くの作品に色が移ることがあります。
※織部、トルコ青、辰砂。
酸化コバルト・・・・青。分量により淡青→紺
※ルリ
酸化マンガン・・・・低い温度で紫、高い温度で茶褐色。※唐三彩、上絵の紫
酸化クロム・・・・・・緑。鉄分の青磁はむずかしので簡単なクロム使う事あります。
※クロム青磁
その他・・・・ニッケル、アンチモン、カドニウム、スズ、金、銀
釉薬の種類
透明釉、不透明釉、マット釉、結晶釉、ヒビ釉、色 釉、灰 釉、塩 釉
成 形
手びねり
指さきだけで形づくりをする方法。つくり方が簡単なだけに素朴なおもむきがあります。
ひもづくり
ひも状にのばした粘土を、輪積みまたはラセン状に積みあげて、形をつくる方法。
タタラづくり
タタラ板、目盛り棒で粘土板をつくります。粘土板を張り合わせたり、型おこしの方法で成形します。
型づくり
タタラ・・・・石膏で型をつくり内側、外側に粘土板を入れ形をつくる。
流し込み・・・石膏型の吸水性を利用し、石膏型の中に泥漿を流し込んで形をつくる。
ロクロ成形
ロクロに粘土のかたまりを置き、ロクロの回転を利用して形をつくる方法。
装 飾
やきものの装飾の方法には、
①作品の表面に模様を刻みつける方法 ②化粧土を使う方法 ③色の異なった粘土を使う方法 ④絵つけ、釉薬
作品の表面に模様を刻む方法
押し・・・・・・作品が柔らかい時、印判、印花、縄目、その他いろいろな物を利用して、表面に模様を付ける。
たたき・・・・作品の表面を模様の付いたタタキ板でたたき模様を付ける。この方法は、成形のとき粘土をよく締め、ひものつなぎ目を
なくすために使われるタタキ板の表面に、粘土がくっつかないように刻んだ模様が、たまたま作品に残ったものです。
ひっかき・・櫛、ノコギリの歯、その他で作品の表面をひっかいて模様を付ける。
はりつけ・・・作品の表面に細い粘土のひも、適当な大きさの粘土をはりつける。はりつけた粘土に印判、指で模様を付ける事もできる。
削り・・・・・・面取りやカンナ、その他で削ったあとをそのまま模様として残す。
化粧土を使う方法
刷毛目・・・・・・化粧泥を刷毛で塗ったもの。作品をロクロの上で回しながら、化粧泥をふくませた刷毛を、波をうたせるように上下に軽く
動かし塗ってゆく。稲の穂先をたばねたワラ刷毛で、一気に塗ると刷毛あとのかすれなど、おもしろい効果がでえます。
粉引き・・・・・・作品を化粧土でおおったもの。作品を化粧泥なかに直接浸します。浸すことのできない作品はひしゃくで流しがけします。
乾燥した作品はヒビ割れします、柔らかい作品は形がくずれてしまいますので注意して下さい。
三島手・・・・・・作品に浅く線彫り、印花や印判で模様をつけ、模様の上から白化泥を塗りこみ、かわかしたあと削り落とす、
くぼんだ部分の化粧土が模様としてのこる。
かき落とし・・素地に化粧を施し、刃物で化粧の一部を削り落として模様をつくる方法。(小鹿田のとびかんな)
イッチン・・・・化粧泥をスポイトに入れ、先から押し出しながら、盛りあがった線で模様を描きます。
型紙・・・・・・・・模様に切った和紙を水でぬらして、なまがわきの作品の表面にピッタリ張り付け、化粧を施し、乾燥したら、和紙をはがし、
はった部分とはらない部分とで、模様ができます。
指かき・・・・・・化粧を施した直後に、指先で化粧泥をこすりとるようにして、模様を描きます。
墨流し・・・・・・皿などに厚めの化粧泥を施し、すぐに違う化粧泥を落とし、素地を色々な角度に傾けながら回します。
ちょうど水に浮いた墨の様な模様になります。二種の化粧泥は色々な方法で模様が作れます。
色の異なった粘土を使う方法
象嵌・・・・・・・・素地を刃物で掘ったり、印判などでくぼみを作り、素地とちがった色の粘土をはめこんで模様をつくる方法。
三島手とおなじような手法のものです。
練り込み・・・・色の違う粘土を組み合わせて模様をつくる方法。
●市松模様・縞模様
二種類の粘土板を交互に重ねて、これを横にしてスライスすると縞模様になります。さらに、この粘土板を左右にずらしながら、交互に
積み重ね、側面の縞模様を縦方向に置いてスライスすると市松模様になります。色々な組み合わせで、さまざまな模様ができます。
●墨流し模様(マーブル模様)
二種類の粘土を混ぜ合わせ、簡単に菊練りをし、スライスすると墨流しのような模様になります。
絵付け
下絵付け・・・・素焼きに陶器用絵の具で絵を書き、釉薬を塗り本焼きします。
上絵付け・・・・本焼きのあと釉薬の上に上絵の具で絵を書き、低い温度で焼き付けます。
釉薬による方法
二、三重がけ・異なった二、三種類の釉薬を、一部あるいは全部に重ねて掛ける事によって、色々な効果をだす。
ロウ抜き・・・・ロウが釉薬をはじくので、ロウを溶かし筆で模様を書き、釉薬をかけると、釉薬をはじき、素地の色を見せた模様になります。
乾 燥
乾燥は、粘土にふくまれている水分を蒸発させ、同時に素地に強度を与え、焼成を無理なく行うための操作です。
乾燥の仕方・・作品は、口縁や取っ手や耳など、薄くて空気に一番よくふれている部分から、乾燥、収縮しはじめます。
作品が小さくなること、すなわち変形することですから、乾燥の速度が極端に違ってくると、ゆがんだり亀裂を生じたりしますので、
作品全体が、できるだけ均一に乾燥するように工夫することが大切です。
とくに、素地の厚いものはぬれた布やビニールでおおうなどして、急激に乾燥しないように、注意することが必要です。
素焼き
乾燥した作品は、そのままでは、少しの衝撃でもこわれやすく、釉薬に浸すと水分を吸い、こわれたりします。素焼きは、
作品を水に浸しても、こわれないように、しかも吸水性を増して釉がけを容易にし、また、本焼きの窯づめなどのときの
取り扱いを、楽にするためにします。
窯づめ・・・・・・窯づめ前にキズの有無をたしかめ、わずかでもヒビでも、焼あと必ずヒビ割れは大きくなってキズものにな
りますので除きます。 一度焼いたものは、もとの粘土にはもどりません。
①窯づめは計画的に窯づめするときに最も大切なことは、窯につめる作品の大きさや数量をよく知って、最も効率よく、
無理なくつめます。
②炎に直接あたらないこと。炎のでる窯では、作品に直接炎があたると、その部分が急激に熱せられて、こわれてしまうこ
とがありますので、炎に直接あたらない場所に置きます。
③弱い部分に重量がかかりすぎないこと。素焼きは、本焼きとちがって、作品がくっつくことがありませんので、作品を積
み重ねたり、互いにくっつけても差し支えありません。しかし、小さい作品の上に大きな重い作品をのせたり、作品の薄い
部分、取っ手など弱い部分に、無理な重量がかからないように注意しなければなりません。
④ほぼいっぱいにつめること。窯に入れる作品が少ないと、焼き終わったあと、温度が急激にさがりヒビ割れが生じよくありません。
⑤十分乾燥させること
見た目には乾いたようでも、肉厚のものは中まで十分乾燥していないことがあり、加熱すると、素地の水分が、一気に気化し膨張し、
作品はヒビ割れや爆発することがあります。
■窯たき
①アブリ・・窯たきの最初の段階をアブリと言い、ゆっくりと温度を上げます。アブリの段階では、素地の水分を完全に蒸発させます。
このとき、窯の一部(蓋、扉)に隙間をあけ、蒸気を逃がしてあげます。
②200~400度・・素地の水分は200度をすぎでほとんど蒸発しますので水蒸気が出なくなったら蓋をしめ、ゆっくり温度をあげます。
400度ぐらいから、有機物の燃焼がはじまります。有機物の燃焼には、大量の酸素が必要ですので、酸素不足に注意。
③500~600度・・500度をこえるあたりで粘土の珪酸分が膨張をはじめます。このとき、作品の部分に極端な温度差があると、
亀裂や破損を生じます。 600度ぐらいで、窯の中が明るくなりはじめます。
④700~800度・・作品は赤く光りはじめ、素焼きは完了です。
⑤焼き終わったあと・・窯の中に外気が入らないように、窯を密封し、急冷をさけます。
⑥窯出し・・焼き終わった状態で、自然に冷めるのを待って、窯から作品を一つずつ、こわさないように気をつけて出します。
釉がけ
釉薬は素焼きをした作品にかけるのが普通ですが、なま素地にかけることがあります。
釉薬は数種類の原料が混合されて出来ていますので、すぐに沈殿しますので、十分なかくはんしなければなりません。
釉薬は、作品の表面に、むらなく適当な厚さにかけることが大切です。
このためには、釉薬の濃度を使いやすい状態にします。濃度は、素焼きのかけらで釉薬の厚さを調べます。
釉がけの方法
浸しがけ・・・・湯呑み、皿、茶碗にかぎらず、小さな作品に便利です。作品の内側に釉薬を四分の一ぐらい入れ、
作品を傾け一回転させ、塗り残しが無ければ、流し捨て、そのまま高台を持ち作品を下むきに水平にして、釉薬の中へ浸します。
数秒間浸して、そっと持ち上げて置きます。
流しがけ・・・・大きくて容器に入らない時に、ヒシャクで釉薬を作品に流しながら、むらなくかけます。意図的にむらがけするときも流しがけをします。
霧吹きがけ(エアーブラシ)非常に大きい作品や複雑な形の作品などに釉薬を霧状にして吹き付けます。普通はエアーコンプレッサーを使用します。
塗りがけ・・・・筆むらや色釉で模様をつくる時に、釉薬を筆で塗ることが有ります。
●仕上げ・・・・しずくあとや一部が厚くなった部分は、よく切れる刃物でていねいに削りとって平にします。
高台や作品のうらについた釉薬はブラシやスポンジできれいに取っておかなければなりません。
焼成のときに棚板に釉薬が焼きついてしまいます。流れやすい釉薬も同じで、流れて棚板にくっつきますので気を付けます。
本焼き
窯の種類・・・・登り窯、穴窯、丸窯、角窯、トンネル窯、その他
窯の燃料・・・・薪、電気、ガス、重油、石油、石炭
窯詰め
棚積み・・・・棚板をツクを使って棚を組立、この棚に作品をならべる方法です。サヤ積み・・サヤと呼ばれる耐火粘土でつくられた容器に入れて、
サヤを積み重ねる方法です。
詰め方・・・・本焼きの場合は、釉薬が掛かったものがほとんどですので、釉薬がはがれたり、よごれたりしますので気を付け、手順よくつめます。
棚積みのとき、作品の高さをそろえて置くと便利です。窯の中温度は均一ではないので、窯のくせや特徴をよく知り、釉薬の溶ける温度により、
置き場所を決めます。どうしても流れる釉薬を塗った作品は、耐火粘土で作ったクッションや板を敷きます。炎が直接当たる場所は、温度が上がり、
ゆがんだり、変形しますし、炎の流れを変えますので注意してください。
■窯たき
アブリ・・・・作品は釉がけによって多くの水分をふくんでいます。アブリの初めの段階は、この水分の除去からはじまります。
蓋や扉をすこし開き、弱い火でゆっくりたきはじめます。急に温度をあげると、釉薬がはがれるときがあります。
温度が200度ぐらいになると、水分がほぼ蒸発しますので、蓋や扉を閉めます。素地は、素焼きで800度ぐらいで焼成してありますので、
800度までは熱による変化はありません。釉薬は700度をこえるとカルシウムなどが分解をはじめ、炭酸ガスを発散して、酸化物に変化します。
900度近くになると、硫化鉄など一部の硫化物が分解をはじめ、硫黄分は亜硫酸ガスとなって発散します。
このように900度までのあいだに種々の化学変化がおこり、いろいろな物質が分解されるいっぽう塩基と結びついた珪酸が、わずかずつ溶解し
はじめます。900度までに酸素を十分に送り込み、有機物や硫化物などを除去しておかなければなりません。
攻め・・・・・・・・900~1240度、この間が窯たきで最も難しい時です。
素地の内部では、珪酸と塩基が結びついて出来たガラス分が、どんどんその量を増やしながら、粘土の粒と粒との隙間に流れこみ、
素地をかたいじょうぶなものに変えていきます。釉薬の内部でも、ガラス化が進み、やがて素地の表面を、溶けたガラスでおおいます。
(還元焼成・・・・釉薬が溶けはじめるころから、空気の量を制限し、素地や釉薬の成分に、酸素が結びつくことを遮断したり、
すでに持っている酸素を放出させたりして、やきものの素地や釉薬の色を決定する焼き方。)
練らし・・・・・・素地や釉薬におこった色々な反応や変化を、さらに完全なものに仕上げ、作品をなるべく一様に焼きあげる操作です。
素地や釉薬が焼き上がった温度を30分~1時間持続して焼成を終わります。
終了と窯出し・・焼成が終わったら、窯を密封して、そのまま自然に冷えるのを待って、完全に冷えてから窯出しをします。
釉薬が流れ、棚板やサヤにくっいた作品はそのまま取り出し、後でゆっくりはずし、釉薬で汚れた道具はきれいにしておきます
bottom of page